お能の質問箱

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小面 さん (女性)

能面の内側の世界について質問いたします。

見所から御舞台を拝見しておりますと、能面をつけたシテと目が合ったように感じる時がありますが、実際にはシテは極めて狭い視界のなかで集中して舞っているので、観客の視線を気にする余裕はなく、シテと目が合っているように感じるのは観客の完全なる錯覚(願望?)なのでしょうか。

能面において、目の果たす役割は大きいと思います。目が生きているか、死んでいるかは役者の面の使いこなし方次第です。その為に、役者は面を自分の顔に当てるときに、見ている方から違和感ない位置に当てるようにします。違和感ない位置とは、少し面から顎がはみ出ている感覚と思ってください。そのため、面の目の穴と役者自身の目の位置とがピッタリ合うとは限らず、舞っている時に、お客様の姿がしっかり見えている事はあまり無いのです。面によって目の穴が大きい場合もあります。(例えば鬼系の面など。)そう言う時は、見所のお客様がはっきり見える事も有りますが、目を見ることはあまり無いと思います。むしろ、目が合ったと思われる事が舞台に立つ者としても意外な感想でした。ご覧になっている時の集中力が高くなられているからかと思います。

自分も面の目が何かを訴えらるよう勤めたいと思います。

友枝雄人

2016年6月14日更新