喜多流NY公演のご報告
去る11月19日・20日ニューヨークジャパン・ソサエティーにて喜多流の公演を行って参りました。今回はアイルランドの詩人イエーツをフューチャーしたサイモン・スターリングの展覧会「Simon Starling:At Twilight(After W.B.Yeats’Noh Reincarnation)」にあわせて能楽の公演を企画されたジャパン・ソサエティーからの招聘を受けての公演でした。
イエーツは実際に能楽を観たことはなかったそうですが、フェノロサ等から英訳された謡本を入手して「鷹の井戸」という詩劇を作った経緯があります。今回はイエーツが入手した英訳台本の中から「通小町」「猩々乱」の二曲を公演させていただきました。
ニューヨークはご存知の通り大都会で能や狂言も数多く公演されており、ジャパン・ソサエティーのスタッフの皆様は能公演に慣れており異国の地でありながら国内と同じような環境で舞台を勤めることができました。写真を見ていただければお分かりの通り、松羽目板もしっかり用意していただき、さながら能楽堂のような雰囲気。特に今回実感したのは字幕の重要性でした。現地スタッフのご尽力で舞台の動きと謡の早さに即した字幕の出し方が素晴らしく、ほとんどが外国人だった観客の皆様にもご理解いただけたように感じました。
この経験は、今後の国内外での公演に生かしていきたいと思います。来春3月には東京都庭園美術館での外国人向けの芝能の公演もございます。
インバウンドも増えている中、母国に帰られた外国の皆様が日本のお能をその土地で再度観ることができるという点からも海外へ出ての能楽公演の必要性も実感いたしました。現に今回のニューヨーク公演にご来場くださったお客様にもそのような方が多くいらっしゃいました。
19日のプレ公演、20日昼に行ったワークショップにも多くのお客様にお越しいただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
最後になりましたが、ジャパン・ソサエティーの皆様にも大変お世話になり、気持ちよく公演が出来ましたこと感謝申し上げます。
友枝 雄人