開催終了 2021年9月4日(土) 13時開演(12時開場) 十四世喜多六平太記念能楽堂
五蘊会二十五周年記念大会
友枝雄人「石橋」
友枝雄太郎「巴」
五蘊会は、今年で25周年を迎える事となりました。
祖父の亡くなった年に産声を上げたこの会は、当初は私のお弟子の皆様、いわゆる社中の発表の場でした。しかし年月を重ね、日々の皆様とのお稽古の中から自分の舞台に対しても学ぶことが多いと感じ、10周年には望月、15周年には安宅と節目ごとに大曲に挑戦させていただきました。
四半世紀を迎える本年は石橋を勤めさせて頂きます。
石橋は、霊界である文殊菩薩の住む浄土と現世を繋ぐ石の橋、その普通の人では渡れぬ橋で牡丹に戯れる文殊菩薩に仕える獅子の舞を中心とした演目です。
中世より獅子の舞は民間で多く流行していたと言われており、自然、能楽にも取り入れられたと考えられておりますが、実は能としての獅子舞は長く退転していたものを江戸時代に喜多流にて復活させたと言われてます。
それ故に当流では本曲をかなり重く大事に扱っております。いわゆる連獅子と言われる紅白の二匹の親子の獅子の舞が一般的ですが、それに対して紅の獅子のみの舞は、昔は一子相伝と言われていたと聞いております。
獅子の豪壮な様は、外面の構えの強さと共に内面の気迫の強さが必要とされ、舞の動きを超えたシテの存在の大きさ、いわゆる舞う者の心技体の充実が自ずと求めらるという事だと思います。
前シテの老人の、文殊の浄土に続く石橋を案内する時の一節に、「獅子は小虫を喰わんとても 先ず勢いをなす」という言葉があります。獅子の剛柔さを表現していると同時に我々能楽師が舞台に立つ覚悟を強くそして暗示しているのだと考えております。相応の覚悟を持って当日に臨む所存です。
また、息子の雄太郎には巴を勤めさせます。まだまだ未熟ですが、将来を見据える事の出来る舞台にと思って選曲させて頂きました。
合わせてご高覧賜りたく、お願い申し上げます。
友枝雄人