筒井筒 さん (女性)
能を舞うことの、いちばんの喜びはどんな点にありますか?
能を舞うということは、面と装束で身体の自由を相当に奪われます。その不自由さの中で、定められた型と謡で一曲を勤めるということは精神的にかなり圧迫があります。キャリアの差こそあれどんなに経験を積んでも、精神的・肉体的に負担が大きいものです。本番の舞台のために積み上げた稽古の結果が良いにせよ、悪いにせよ、楽屋で装束を解いた時の安堵感は経験したものにしかわかりません。自分なりに良いと思った時には、繰り返しそれを目指したいと思いますし、悔しい思いをした時は次の舞台こそはと思うものです。一番の喜びはという質問の答えにはなっておらず申し訳ありません。登山家が山に登り続けるのと同じかもしれません。
正直なところ、舞った後のビールが一番の喜びですかね。
2016年5月11日更新