NEW! 2025年4月26日(土) 14時開演(開場12時) セルリアンタワー能楽堂
觀ノ会第八回公演「定家」一味の雨
友枝雄人「定家」一味の雨~執心からの解脱か 解脱への執心か~
次回、觀ノ会第八回公演は「定家」を上演いたします。
曲名は「定家」ですが、シテは式子内親王です。新古今集に四十九首も入っている優れた歌人で、後白河法王の第三皇女として幼い頃に賀茂の斎院となった、知性だけでなく儚さと幽玄をまとったような女性です。
能では藤原定家卿との忍ぶ恋、死後には定家の執心が蔦葛となって自分の墓所に纏わりつかれる苦しみ、そこからの解脱を求める姿が描かれます。
高貴な生まれの式子内親王の品位と隠さねばならぬ定家との恋の狭間、またそれによる死後の苦患を瘦女という面によって表現します。この瘦女を使用する演目は古来より難曲とされ、その中でも「定家」は最も難しい位置に置かれております。喜多流では瘦女の演目では、足のハコビを摺り足から独特の足遣いに変えて舞います。特に苦しみの姿のまま、成仏への報恩の舞を舞う演出は難所となっております。
八回を重ねた觀ノ会、この経験を作者、金春禅竹の思いにどこまで近づけるのか、身体の集約に最大の意識を傾けて本番に臨みたいと思っております。
ご高覧、お待ち申し上げております。
友枝雄人