開催終了 2017年11月5日(日) 13:00開演(12:00開場) 国立能楽堂
友枝会
「松風」友枝昭世
「野守」友枝真也
本年11月5日(日)の友枝会は、松風と野守の二曲です。
松風は、古来より名曲と言われている演目。世阿弥が元来あった曲を改作して、人気を博した自信作でもあります。
須磨の浦に蟄居する在原行平。その浦の汐汲の蜑の姉妹は、松風、村雨と名付けられ彼の寵愛を受け幸せな日々を過ごしますが、行平が程なく都に戻る事となり、別れる事となります。
その悲しい別離は、姉妹の死後も二人の魂を須磨の浦に漂わせ、一人の旅僧の前に現れます。二人は行平と過ごした年月を語り、僧に回向を頼み須磨の浦に吹く松風の如く、朝日とともに消え失せていきます。
物語の筋は単純ではありますが、前段の蜑の二人の汐汲む場面の美しい謡の詞章と節は、月光輝く秋の須磨の浦を能舞台の上にゆっくりと広げます。
後半の行平への蜑乙女の想いは、感情の昂りと共に死後も魂を狂乱させ、舞台の空気は一変します。行平の形見の烏帽子、狩衣を身にまとった姉の松風は行平のまぼろしを追うように狂い舞いますが、僧の弔いと共に何事もなかったように、須磨の浦は松風吹く元の景色に戻ります。数ある能の演目の中でも、見る側に余韻という言葉を強く意識させる終曲となっています。
野守は、春日野にすむ野守の鏡を持つ鬼神にまつわる演目です。
鬼といえば、恐ろしい存在と思われがちですがこの曲の鬼は、超自然的な豪壮な鬼神で、人間に危害を加える存在ではありません。
出羽の羽黒山の山伏が大和路に赴き、出会った野守の老人に歌にも詠まれている春日野の野守の鏡について尋ねます。
老人は、野守の鏡とは野にある水鏡の事でもあり、また春日野の鬼神の持つ鏡とも言われ両説ある事を語り、真の鏡を見れば恐ろしい事になるだろうから、野の水鏡を見よ、と告げ春日野にある塚に消え失せます。不審に思った山伏が塚に向かい祈りを捧げていると、そこから鬼神が鏡を持って現れその鏡にて天地、四方八方を写し表し鏡を山伏に与え、再び大地を破って奈落の底に消え失せていきます。
春の長閑な春日野に超自然的な存在が宇宙から地獄までを映し出す壮大なら世界観の演目です。
是非お楽しみくださいませ。
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