開催終了 2023年4月22日(土) 14時開演(開場13時) セルリアンタワー能楽堂
觀ノ会第六回公演「野宮~本三番目能の真髄」
友枝雄人「野宮」
第6回を迎える觀ノ会は、源氏物語を題材とした「野宮」を舞わせていただきます。
6年目にして初めて当会にて本三番目物に挑みます。
古来より能の演目は、神・男・女・狂・鬼(しん・なん・にょ・きょう・き)の五つに分類され、演じられる順もその表記の通りでした。
江戸時代の式楽として幕府の正式な公演は五番立てであり、その三番目に演じられるゆえに、「女」の演目は近年でもその名残として三番目物と呼称されております。一日の公演の主軸となるのがこの三番目物です。
「野宮」は、その三番目物の中でも本三番目物と呼ばれ、特に大事に扱われております。
その定義としては、お囃子には太鼓が入らず、大鼓と小鼓、笛の三名、舞は序ノ舞となる、とされております。
形式はこのように言われますが、本三番目物はどの曲もその内容の格調の高さ、そして人間性の深層に入り込んだテーマが含まれており、容易に勤められる演目ではありません。充実した稽古、舞台経験、そして日々の精進による演者の人間性まで問われる演目といえましょう。
六条御息所をシテとし、光源氏との確執、そして彼女自身の内省の苦しみ、葛藤を描いた「野宮」。
この作者は紫式部より源氏物語を理解している、と評した文章を目にした事があります。
これまでの6回の蓄積、自分の今までの役者人生が自ずと問われる覚悟で臨む所存です。
また、これまでは觀ノ座を演能前に開催しておりましたが、今回は「觀ノ後座」として、演能後に歌人の馬場あき子氏、觀ノ座発起人代表の青柳恵介氏そして私・友枝雄人による鼎談を予定しております。
本三番目物の難しさに挑む能楽師の本音、そして長きにわたって喜多流の「野宮」を見てきたお二人にその魅力をとことん語って頂きます。
なお、「野宮」の見どころと詞章・その現代語訳を下記よりダウンロードしてご覧いただけますので、お目通しいただければ幸甚です。
当日のご来場をお待ちしております。是非お運びくださいませ。
友枝雄人