2024年2月3日

令和6年度喜多流自主公演4月公演

4月6日(土)正午開演の喜多流自主公演にて能「小塩」を勤めます。facebookやX(旧Twitter @tomoedashinya)などでも告知して参りますのでよろしければフォローください。観覧チケットをご希望の方はdesk-shinya@tomoeda-kai.comまでお願いいたします。小塩の詞章はこちら。この詞章には小塩の謡の中に出てくる和歌を紹介しています。また小塩に関連のある伊勢物語の原文をまとめました。こちらも是非ご参照ください。

小塩の鑑賞ガイドを動画にいたしました(引き続き続編もアップしていきます)。動画をご覧になるにあたっては是非上記の小塩の師匠と伊勢物語の原文をご参照ください。なるべく短くまとめたかったのですがどちらも20分くらいの動画です。音声だけでも大丈夫(絵的には静止画)ですので移動時間にでもお聞きください。

小塩解説動画1 https://youtu.be/jwjdSFYzlU8

小塩解説動画2https://youtu.be/FxNsx4gHLqk

小塩は金春禅竹の作とされ、シテは在原業平(の霊)です。パッと見、春の満開の桜を詞章巧みに描いた長閑なお能ですがちょっと読み込んでみるとついつい深読みというか勘繰りたくなるような側面もある、興味深い作品です。もしも、この曲が禅竹作であれば、世阿弥の名作「融」を相当意識して作ったのではないかとも感じます。舞台上でも前シテも後シテも面・装束には両者はそれほど変わりません。融をご覧になったことがある方は小塩との前後の違いを探してみるのも面白いかもしれません。

融(前シテ)
融(後シテ)

能「融」では世阿弥は融(河原左大臣)の有名な和歌「陸奥の忍もじずりたれ故に」をその作中に引用することをせずに月光の下の貴公子の姿を描きましたが、能「小塩」では伊勢物語をはじめ数々の引き歌が読み込まれています。小塩の詞章はこちら。この詞章には小塩の謡の中に出てくる和歌を紹介しています。この歌と伊勢物語の背景を理解していると「小塩」をご覧いただく時の景色がぐっと深まると思います。

ちなみに下の写真は小塩に使われる「初冠(ういかんむり)」という小道具です。恐らくこの初冠という言葉は能に使う冠が他にも天冠(てんがん)唐冠(とうかん)透冠(すきかん)など色々あるので区別するために初冠という言葉を使ったのだと思います。元々は伊勢物語の初段のタイトルでもある初冠は初めて冠を被ること=元服の意味であったと思われます。

初冠(ういかんむり)に巻嬰(けんえい)と追懸(おいかけ)

実は能で使う初冠には二種類有ります。一つは先に上げた融の後シテに見られるように嬰が後ろに垂れている状態のもの(垂嬰 すいえい)と上の写真のように嬰を巻いている状態のもの(巻嬰 けんえい)です。この違いは垂嬰を使うのは文官、巻嬰を使うのは武官という決まりごとによるものです。武官は馬に乗るので嬰を巻いて留めて、なおかつ追いかけと呼ばれる日除を目の外側につけます。逆にいえば百人一首の絵でこの追懸をつけている人がいればそれは武官ということになるわけです。もちろんこれは舞台上で象徴的に表現するわけですから実際に当時の貴族の冠がどうなっていたかはここでは触れないでおきます。能ではこの巻嬰・追懸のセットで使うのは業平がらみの人物です。このあたりの豆知識は動画でもおいおいアップする予定です。どうぞお楽しみに。

また当日は金子敬一郎師による能「巴」また山本則孝師の狂言「伊文字」となっております。いずれも名曲揃いで、ぜひ春の穏やかな午後を銀座能楽堂にてお過ごしください。※演者は予告なく変更する場合があります。

チケットご購入・お問合せは  desk-shinya@tomoeda-kai.com  まで。

友枝 真也